ママモスタディ

おひなさま・三人官女・五人囃子…ひな人形の種類と意味を分かりやすくご紹介!

 

さあひな人形も飾ったし準備万端!

あとはひなまつりにお祝いをするだけ…

そんなとき子どもに

「なんでおひなさまはこんなにたくさん着物を着ているの?」

「三人官女は何を持っているの?」

なんて聞かれたことはありませんか。

 

「子どもが健康で幸せに育ちますように」

との願いをこめて飾られるひな人形。

それぞれのお人形さんや小物などにも意味があります。

 

改めて知る機会の少ない、ひな人形の意味についてご紹介します。

最後にはまとめて、「お子さんから聞かれたらどう答えればいいか」についても掲げていますので、ご参考ください。

 

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おひなさま(めびな)

めびな

結婚式の主役のプリンセス。

◎着物について

まとっている美しい着物は「十二単衣(じゅうにひとえ)」

昔の貴族の女性の晴れ装束です。 

じつはこの「十二単衣」というのは俗称で、正式名称は「五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)」。平家物語でたまたま12枚の着物の描写があり「十二単衣」と呼ばれるようになったそうで、本当に貴族女性が毎回12枚着ているわけではないそうです。

私はこれを知らず、娘に「おひなさまはなんでこんなにたくさん着物きてるの?」と聞かれたとき「十二単衣といってね、12枚も着てるんだよ~」と答えてしまいました・・・。

たくさん着ていることに変わりはなく、当時の貴族女性は約20キログラム(!)を背負っていたそうです。

◎扇について

女雛は立派な扇をもっています。

もともと男性が使っていた笏(しゃく。男雛が持っているもの)を大きくして女性用にしたことから生まれたそうです。

何に使うかと言うと…人前で顔を隠し奥ゆかしさを重んじていた昔の時代。女性の顔を覆うのに美しい扇が用いられていたのですね。

 

おだいりさま(おびな)

おびな

結婚式のプリンス。

公家男性は、朝廷に出向く際にはこのような正式な装束をもとっていました。

頭に着けているのは冠。

持っているのは笏(しゃく)。

笏は、ピシッとさしながら命令していそうな雰囲気がありますが、それは表向きのもの。じつはこの笏は「メモ帳」。裏に大事なことがメモされてあったのです。

朝廷での出仕、発言1つ1つが自分の立場を左右していた時代(今も変わらないかな)。いつの時代もいざという時のカンペは必要ですね。 

 

三人官女

三人官女

内裏雛(めびな・おびな)に仕え、身の回りの世話をする女官です。

ひな壇でも内裏雛の一番近くにいます。結婚式であれこれとお世話をして段取りをとっている姿が目に浮かびますね。

◎3人の特徴

三人官女のお顔をよーーーーくご覧ください。

真ん中の座っている女性だけ、眉毛が薄くて歯が黒いです!

これは、既婚女性が眉を剃り、お歯黒を付ける慣習によります。

真ん中の女性は結婚しているのですね。

そうすると、真ん中の女性を筆頭に、両脇から若い女官がサポートしているという構図が想像できます。

並び方は、中央が座っている人、立っている人は前に出ている足が外側になるように並べてあげましょう(右足が前にでている人は、左側というぐあい)。

◎3人が持っているもの

・長柄(ながえ。「銚子」ともいう)

向かって右側の女官が持っている、長い柄のあるものが長柄。盃にお酒を注ぐもので、現在の和結婚式にも用いられているものです。

・島台(しまだい)/三方(さんぽう)

中央の女官は、ひな人形によって2種類の持ち物があります。

1つは島台。島の入江の姿に模した、お祝いのときの飾り物。

もう1つは三方。お酒の盃を乗せています。三方がなく、盃だけの場合もあります。

・提下(ひさげ)

向かって左側の女官が持っている金属製の器。向かって右側の女性がもつ長柄に注ぐお酒がはいっています。

 

持っているものからもわかるように、三人官女はお祝いのお酒が尽きることのないよう、目を配り主人(めびな・おびな)のお世話をしながら、結婚式をサポートしているのですね。

 

 

 

五人ばやし

五人ばやし

 

結婚式を盛り上げる、美少年音楽隊です。

髪の毛がまだおかっぱで前髪も残っていることから、元服前(12~16歳)の男の子と推測されます。

めびな・おびなの盛大な結婚式に能楽を奏でるグループとして選ばれただけに、楽器・謡・見目いずれも選りすぐりの少年たちなのでしょう。

このような能楽に秀でた少年たちが、時の政権の寵愛を受け高い地位にのぼることもあったといいます。

また、「囃子(はやし)」は、音楽を盛んに盛り立てるものをいいます。

未来に希望をもつ子どもたちの囃子隊を飾ることで、子どもが健康で生き生きと育つように、エールを送る意味もこめられています。

 

右大臣・左大臣

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ここでは日本古来の並び方・左上位とし、向かって右側が年配の左大臣、左側が若い右大臣です。

「うれしいひなまつり」の

すこし白酒召されたか 赤いお顔の右大臣

 で出てくる方がこちらですね。

モデルとなっている両大臣の正式な官職名は「近衛中将・近衛少将」と呼ばれ、天皇にお仕えする側近中の側近。

若い右大臣がその身を挺しておびな・めびなを守り、老練な左大臣が冷静に2人を支える。そんな姿がうかがえます。

 

仕丁(じちょう。雑務役)

仕丁

平安時代以降、 地方の住民が一定期間(3年)無報酬でかりだされ、身分の高い人のもとで働かされることがありました。

仕丁はその役務についている人で、ひな人形では唯一、庶民の位です。

君主の命とあってははせ参じるものの、食料などの負担も一切が自前であったため、彼らにとっては負担が大きいものであったことでしょう。

それでも、縁ほどとおかったまばゆいばかりの宮廷でのお仕え。

怒り、悲しい中にも喜びがある。

3人の顔はそれを表現しています(表情が怒・泣・笑)。

堅苦しい中でも、大変のお勤めの中でも、喜怒哀楽のある感受性豊かな子どもになりますように・・・そんな願いがうかがえます。

 

調度品

調度品

おひなさまの御輿入れ道具です。

これからお殿様のもとに嫁ぐおひなさま。

牛車、籠、重箱・・・立派な嫁入り道具をそろえ、多くの従者をひきつれて行列をつくりながらお殿様のもとへゆっくりと足を進ませます。

 

 

お子さんから尋ねられた時の簡単な答え方

なんでひな人形を飾るの?

ひな人形は〇〇ちゃんがの元気で幸せになるように見守っていてくれるものなんだよ。だから、〇〇ちゃんが健康で大きくなりますようにってお祈りして飾るものなんだよ。

 

なんでお人形はこんな格好をしているの?

ひな人形は、昔の女の子の結婚式の飾りになってるんだよ。昔の結婚式のドレスは、こういうきれいな着物だったから、おひなさまも昔の結婚式で使われた着物やきれいな道具を持っているんだよ。

 

お人形の意味はなあに?

おひなさまとお殿様

結婚式の主人公。王子様とお姫様だよ。

三人官女

王子様とお姫様をお世話してくれるひとたちだよ。真ん中の人だけ歯が黒くて眉毛がないでしょう。昔は結婚するとこういうお顔にしていたんだよ。持っている道具は、結婚式に使うお酒をつぐためのものだよ。

五人囃子

結婚式で音楽を演奏してくれる男の子たちだよ。〇〇ちゃんが元気に育つよう、音楽で応援してくれているんだね。

右大臣・左大臣

王子様とお姫様をいつも守ってくれる強くて偉いひとたちだよ。

仕丁

お掃除をしてくれたり靴をそろえてくれたり、王子様とお姫様のことを助けてくれる人たちだよ。笑ったり怒ったり泣いたり・・。〇〇ちゃんも怒ったり泣いたりすることもあるなかで、たくさん笑って大きくなれるといいね。

 

 

ひな人形、歴史ある奥深いものですね。

ひなまつりが、子どもにその伝統と知識を伝えながら、底にある愛情を表現していける素敵な行事になったらと思います。

 

 

当記事を掲載するにあたり、

  • 京都桂甫作安藤人形店様
  • ひな祭り文化普及協會様

のHP等を参考にさせていただいております。この場で御礼申し上げます。

 

 

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