保育士試験の合格率(倍率)は約2割! 低い?高い?
このカテゴリーのページでは、平成30年度前期保育士試験に約4か月独学で一発合格した筆者が、保育士試験の勉強方法や試験当日の様子などについて、考えたこと・経験したことを綴っています。
前回は【保育士試験の概要と合格基準】についてでした。
そこで記したとおり、保育士試験は
- 筆記試験は9科目。1科目6割以上で合格
- 合格科目は原則3年間有効(教育原理と社会的養護は同時合格でないとダメ)
という特徴があります。
これが合格率にどう影響を与えているのか、以下見ていきたいと思います。
合格率の統計
試験を挑戦する前にまず確認しておきたい、合格率。
あまりに低すぎて手が出せない状況なら‥その試験は考えもの。
さて、保育士試験の合格率について公表された資料を見てみると、結論としては
- 近年は平均約2割~ 2.5割程度
- 受験者数と合格者数はともに増加傾向
(厚生労働省発表の統計により算出)
というところです。
ご参考に各年度試験の合格率を記載します(不要な方は読み飛ばしてください。なお、全科目免除者は除いた数字です)
平成29年度後期 24.2%
(受験者数31,560人)
同 前期 18.9%
(受験者数29,556人)
平成28年度後期 29.5%
(受験者数35,255人)
同 前期 22.0%
(受験者数35,455人)
平成27年度 22.8%
(受験者数46,487人)
平成26年度 19.3%
(受験者数51,257人)
平成25年度 17.4%
(受験者数51,055人)
平成24年度 18.6%
(受験者数52,257人)
年2回試験になるあたりから徐々に上がっていますね。
これだけでも今後受験者にとって有望な試験という印象を受けます。
また、公表された資料ではありませんが、巷では実技試験の合格率は約8割と言われています。実際に実技試験を受験した感覚でも、落とす試験ではなさそうなので合格率はその位かなと思います。
それを前提に計算すると、例えば平成29年度後期であれば、筆記試験の合格率は約3割程度ということになります。
合格者数UPの背景:保育士不足
合格率パーセントで見ると分かりにくいですが、
合格者の数については、この5年間で確実に増えています。
平成25年度 約9,000人
↓
平成28年度 約18,000人
わずか3年の間で2倍です!
それもそのはず。
今や深刻な保育士不足。
働くママが増え、保育園の需要は増える一方。
施設は増設されつつも、認可されるためには国が指定する基準の保育士数確保が必要。保育士の配置による加算(保育園への補助金交付)で、保育士の給料UPなども実施されている今、「保育士国家資格」をもつ方を求める声は高まる一方です。
もちろん誰でも保育士になっていいよ!というわけではなく、一定の専門的知識と技術・倫理観が要求される資格ですので、今後も容易に合格者数が増え続けるかといえば安易に「Yes」とは言えないと思われますが、少なくとも数年は大きく減らす方向には動かないのではないかなあ、というのが筆者の考えです。
合格率の数字のカラクリ:実質的にはもっと高い?
1で見た合格率ですが、数字だけ見て単純に「だいたい4~5人に1人が受かるのね」と受け取ってはいけません。
なぜなら、この数字は延べ人数をもとに算出されているもの。
つまり、同じ人間も受験者数に複数回カウントされているからです。
具体的にご説明します。
【保育士試験の概要・合格基準】の記事でお話しましたように、保育士試験は一度合格した科目は原則3年間有効。それまで落ちた科目のみで何度でも受け続けられます。
そして、保育士試験は平成28年度から年に2回行われるようになりました。
これが合格率の数字にどう影響するかというと、以下の具体例をご覧ください。
全国で保育士試験を受けたのは、H29前期はA,B,C,D,Eさんの5人。
H29後期試験にFさんが加わり、6人になったとします。
- 前期試験において、A,B,C,Dさんは一部科目のみ合格。Eさんは全部合格→A,B,C,Dさんは「不合格者」、Eさんは「合格者」にカウントされるので合格率は5人中1人の20%。
- 後期試験において、A,B,C,Fさんは一部科目のみ合格。Dさんは全部合格 →A,B,C,Fさんは「不合格者」、Dさんは「合格者」にカウントされるので合格率は5人中1人の20%。
公表されているデータだと「誰と誰が前期・後期試験を重複して受けているか」が分からないので、合格率はいずれも「20%」としか算出できませんが
上記事例のように重複し受けている人間を考慮して実数で合格率を出すと
平成29年度で受験しているのはA~Fの6人。合格したのはD,Eの2。
→合格率は33.3%。
したがって、
- 合格者には数回受験した一部合格者も含まれている
- 2回試験開始後(H28~)の年度全体の実数人員(×延べ人数)の合格率は、公表されている数字よりもっと高いものと推測される
ことを考えると、保育士試験の実質的な合格率は約2割よりもう少し高いと考えてよいのではないかというのが筆者の見解です。
保育士試験の合格率は低い?
以上を見ると、保育士試験は
- 合格率が以前より高い割合で推移していること
- 国の施策として保育士数を増やす傾向にあること
- 統計の数字にはカラクリがあり実質的な「合格しやすさ」の方が高いと思われること
から、「2割」という数字で低いと感じることなく、
「きちんと方法を定めて勉強すれば合格できる試験」
と言えるのではないかと思います。
数字的なバックデータを見て自信をもったうえで、狙いを定めて勉強しましょう!