ママモスタディ

時間どおりに動かない子どもに「早く」と言わない子育て

朝のおしたく、食事

帰ってからの片づけ、宿題、お風呂…

 

何かにつけて、子どもは親のペースを乱しがち。

親が「〇〇しなよ」と言わなきゃ腰が上がらないし

「〇〇したの?」と聴いても「うーん」と生返事で心ここにあらず。

 

子育てしていれば誰しも経験されることだと思います。

 

親としては

予定の時間から逆算して

「いまこれをやらなければこの子が困ってしまう」という心配から

子どもに急いでほしいという気持ち。

 

「時間を守る」ということが

当然のルールである(特にそのルールが厳しい日本)社会において

子どもにも当たり前のようにそれを要求する気持ち。

 

 そんな親心から

「早く」という言葉が日常的に交わされてしまう

もしくは

「早く」というオーラが子どもに対して出てしまう

 

無理もないことだと思います。

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でも、時にそんな自分に嫌気がさすこともありませんか。

 

食事、着替え、お風呂、宿題…

毎日こなすことに1つ1つ目くじらを立てていては、こちらの精神ももちません。

 

できることなら、親も子どものペースを乱さずに

お互いニコニコ1日の生活課題をこなしていきたい。

子どももガミガミ言われることなく、時間通りに動くようになってほしい。

 

それでは、

子どもの気持ちを乗せ、おだて、あるいはご褒美をあげて

その場その場がしのげればよいのでしょうか。

 

毎日やっていては親も疲れるし、子どもだってそれは「自主的に」時間を配分して行動しているとは言えません。

 

長い目でみて、子どもが自分から時間を気にして動くようになるには

親がどのように接すればいいか

「子どもの問題処理能力の成長」という観点から

親のサポート方法を考えたいと思います。

なぜ子どもを「遅い」と感じるのか

子どもに「早く」と急かす光景は外でも多く見られます。

つまり、特定のお子さんだけの行動が遅いのではなく

子どもが一般的に親から見てマイペースだということです。

なぜ子どもがマイペースなのか?

その理由は、親と子どもがみている時間概念の差にあります。

 

子どもは、「いま、この時」を見ています。

だから

登園途中にタンポポの綿毛があれば「わー!」と喜んで駆けていって「フーッ」と息をふきかけるし、段差でもあろうものならすかさず行ってジャンプを繰り返します。

そのせいで登園時間に遅刻するかもしれないなんてまるで頭にありません。

大きいお子さんであれば、帰ってきて好きな漫画が机の上に置いてあったら、宿題なんて考えずにまず漫画に手を出すのも当たり前のことでしょう。

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一方、大人は「予定の時間から逆算された現在」を見ています。

常に大人の「現在」は、その先の予定を基準にしての「あと残り何時間か」という視点で見るのです。

だから、時計を見ると

「今1時か。子どもが帰ってくるまであと〇〇時間があるからいま掃除できるわ」

と無意識に考えるようになります。

 

そうすると、子どもと大人とで見ている「現在」の認識にズレが生じます。

 

子どもは、「現在」を未来の予定から逆算などしていないのです。

いま、ここに楽しいことがある。

それが子どものすべてです。

 

親と子どもは時間の視点がちがう。それをまず認識してみたいと思います。

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子ども=自分ではない。子どもの個性と世界観をのぞいてみよう

子どもと大人とで「時間」の認識に温度差がある、ということを前提にしたうえで

子どもの行動を「遅いなあ」と感じた時

 

いま、子どもは何を見ているんだろう?

何を考えているんだろう?

 

と、子どもの立場にたって考えてみましょう。

 

ある朝、筆者の娘のご飯のペースがあまりに遅く

ぼーっと上向きに口を開けているので

「どうしたの?」と聴いてみると

 

「壁がキラキラしてる。なんでかなって考えてたんだけど、電気(照明)におひさまの光が当たっている」

 

という返事でした。

 

確かに見てみると、壁が虹色に光っている。

そしてその先には照明器具と太陽光。

ボーっとしているように見えたそのとき、娘は光の分光を娘なりに観察していたようです。

 

一方、親としては「早く食べてほしい」という気持ちが心の第1順位を占めています。

そうすると、壁の光などどうでもいいことです。

 

「そんなもの見てないで早く食べちゃいなさい」

 

という発言が自然に出てきてしまうのも、無理からぬことだと思います。

 

でもそこで、子どもの「いま」を見てみましょう。

 

子どもはいま、光のスペクトルに感動している。

どうしてこんなことが起きるんだろうとも考えている。

その「いま」は子どもの心から発している感情で

親から指示されたものでも伝えられたものでもない。

 

そう思うと、その「いま」を大切にしてあげたい。

 

でも実際問題、時間がないのも事実です。

 

なので、「聴く」「共感する」「質問する」といったコーチングで子どもの中の時間感覚の育ちをサポートしてあげましょう。

感動を表す子どもの声を聴き、その気持ちを肯定してあげましょう。

 

「ほんとうだね。おひさまの光が電気にあたると、その光がいろんな色になるんだね。」

 

そして子どもの視点に立ちつつ、次の行動を促すサポートをしてあげましょう。

 

「今日はおひさまが出ていい天気みたいだね。おひさまが隠れるまえに出発して、おひさまの当たってるところだけしか踏んじゃいけないってゲームをしながら保育園に行こうか」

 

など。

 

結果はうまくいったりいかなかったりを繰り返しつつにはなりますが

大人がしてほしいことではなく、子どもが見ているものを尊重してあげながら

「できていないこと」ではなく「できること」をサポートしてあげながら

一緒に「いま」を見ていけば

 

子どもの意外な一面を発見でき、一緒にその話題を膨らませていくことが楽しくなるかもしれません。

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「早く」と指示することの弊害

 責任感が育たない

【子どもが時間を気にして行動する】というのは

子どもが自分自身を律することができるという大きな成長です。

 

年齢を経ないと自分を律する力は備わらないことと

まだ手先や思考が未熟であることも相まって

特に低年齢の子どもに対して「早く」ということが多いかもしれません。

 

さて、子どもが「現在を予定から逆算して考える」ようになってほしい、

自分で自分の行動を律することができるようになってほしい、と願い

大人が子どもに「早く」と指示することは有効でしょうか。

 

応えは、「否」です。

 

子どもは若い草木と一緒です。

 

大切に植えた種から小さな芽が出てきて

さあ早く育て、育てと手でひっぱって伸ばそうとしても

芽は伸びるどころか、切れてしまうでしょう。

 

子どもに「早く」「早く」と指示をすると

子どもは親に言われるまま、「早くしなきゃ怒られる」という恐怖で行動します。

そうすると、「早くするように言われているから」早くするのであって

早くしないと自分に不都合がある」という認識は希薄です。

 

この場合、言われるがまま「早く」行動した結果、自分に不利益あったとき

「いわれた通りにしたのにダメだったじゃないか」と

自分の行動を他人(親)の責任と捉えてしまいます

 

これでは、人間が他人と生きていくうえで最も重要な「責任感」が育ちません。

 

例えば早くご飯を食べて用意をしなかったことによって

幼稚園や保育園に遅刻し、みんなの活動から遅れてしまったこと

小学校に遅刻し、先生に怒られてしまったこと

そういった自分に不都合なことを経験したときに

子どもが

「親のせいだ」と考えるか

「しまった。次は気を付けよう」と自分の問題として捉えるかは

親の対応で決まってくると考えられます。

 

これを「親のせいだ」

ととらえてしまうと、 不都合な結果を自分の責任にしないので

その先、困ったことがあっても「自分がこうなのは〇〇のせいだ」と他人に責任を押し付けるくせがつき、

  • 問題を解決しようとする勇気
  • 現実をしっかり見る目
  • 結果を受け止める強さ

といった能力の成長にかかわってきます。

 

物事に挑戦したり、現実を改善しようとする意欲は

小さいころに自分を肯定されてきたか

指示ではなく自分の意欲として行動してきたか

ということが大きく作用します。

 

「早く」という指示の言葉がでかかったら、ぐっと飲み込んで深呼吸です。

否定や命令をやめて、いまできていることを言葉にしてみよう

否定や命令は、子どもを肯定することとは正反対のものです。

どうしても「いまこの時」を乗り越えたいため、親は子供の出来ていないところを注目してそれを指摘しがちですが

いま出来ていることに注目してみれば、子どもを肯定することにつながります。

 

のろのろ食べていても、「あら野菜たべたの!?うれしいわ。」

ひとりで着替えていたら決して早くなくても「素敵な服を選んだね」

お皿を片付けていたら当たり前のことでも「いつもありがとう」

なんて言葉がけはいかがでしょうか。

こどもは自分が見ている「いま」の目線を親にも合わせてもらえれば、ますますやる気がでるものです。

大人も、例えば仕事で練りに練った案を上司に提出したときに

「遅かったねえ。もう少し早く出してくれると助かるんだけどな」

と言われた時と

「じっくり考えてくれたね、ありがとう」

と言われた時と

どちらが、よし次も頑張るぞ!もっといいものを出してやろう!

と思えるかを考えれば、子どもの気持ちも同じです。

 

「わたしはできる」という気持ちがその先のやる気を引き起こします。 

そうはいっても時間がない。朝の時間はどう過ごす?

理想的なことを言っても、時間がない事実は変えられません。

子どもの「いま」を大切にしながら、かつ時間にも間に合うといういい結果に導きたいものです。

特に忙しい朝の時間。できることは何かを考えてみます。

 

 今日ギリギリだったら、明日は15分早く起こす

物理的に余裕を持つのが一番の方法です。

朝気持ちよさそうに寝ていると、もう少し寝させてあげたいところですがここは毅然と起こしましょう。

また、自分の着替え・化粧・持ち物用意などは子どもが起きる前に済ませておきましょう。

「子どもが起きている時間は子どもにだけ手をかければいい」という状況であれば、子どもの甘えにも大らかに対応できます。

 

 その子どもに合った朝食にする

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食べない子、よく噛んでゆっくり食べる子、遊び食べをする子、食べ過ぎる子…

いろいろなタイプの子どもがいます。

朝は食欲がない子が多いですが、朝食を抜くという習慣やソファなどで1人でパンをかじるといったこともなるべく避けたいものです。

かといって朝からしっかりとした朝食を時間内に食べきるというのも子どもにとっては難しいこと。

完璧を求めず、以下の点だけ抑えておき、朝食が時間を圧迫する要因にならないよう、ハッピーな食事時間にしたいですね。

  • 一緒に食べる
  • 量を多く盛らない(完食のハードルを低く設定)
  • 子どもが好む食べやすい一品料理でOK→サンドウィッチ・おにぎり・具だくさんスープetc..
  • 「もういらない」なら無理強いしない

 「着替えさせて」の甘えも受け入れる

朝の登園・通学前はナーバスになる子もいます。

もう当然自分で着替える年齢でも、朝は「着替えさせて」という子も少なくありません。

そんなとき「もう自分で着替えられるでしょ」と突っぱねたご経験はありませんか。

そのあと、いつまでたってもぐずぐず着替えなかったり準備が遅かったりしませんでしたか。

筆者はそんな経験があります。

なので、朝は甘えたいもの。そう割り切り

「着替えさせて」「食べさせて」との要求も受け入れるようにしました。

ある程度満足すれば、受け入れられた安心感を持ち、あとは自分でやるようになります。

遠回りに見えますが、スムーズに準備が進む近道でもあります。

 

 トイレは達成感を!

トイレは子どもにとって面倒なことです。

我慢して我慢して限界まで行かないなんてこともしょっちゅうです。

それまで何も言わなかったのに、さあ出発しようというときに「トイレ」と言われたご経験がある方も多いと思います。

出発前に必ず必要なトイレ。

準備の流れの中で子どもが済ませておいてくれれば親にとっては助かります。

なので、「トイレ=面倒くさい」にさせず

「トイレ=嬉しいこと」に置き換えてみましょう。

我が家ではご飯を食べた後はトイレタイムと決め、「行ってらっしゃい!」と大げさに送り出します。そして特に大の方が出た時、「やったねー!すっきり気持ちいね!」とまた大げさに一緒に喜びます。

自然と、ご飯→トイレ→クリアしたら喜ぶ

というような流れができ、トイレに達成感をもって自主的に行けるようになると思います。

 

通園準備はヘルプを出されない限り手伝わない

朝の通園準備も時間がかかる1つの要因です。

でも、ある程度自分で用意ができる年齢であれば、いくら時間がなくてもこれだけは手を出さないようにしましょう。

また、親は最終チェックすらしないようにします。

なぜかはやはり「責任感」を育てるためです。

自分のものを自分で用意することが当たり前。それを怠った結果は自分が受け止める。

持ち物の用意は、それを学ぶ絶好の機会です。

 

私は過去に、娘がリュックの中に入れるべきハンカチを1枚入れ忘れ、それを保育園に着いてから気づいたことがありました。

その時とっさに、園のものを借りるのも申し訳ないし、娘もばつの悪い思いをするかもしれないと思い「ママのハンカチ貸してあげるから使っていいよ」と渡そうとしました。

その時やりとりを見ていた保育士の先生がこう言いました。

「お母さん、お気持ちは分かりますがハンカチは貸さないであげましょう。持ち物を忘れたときどうすべきか、この子たちは知っています。」

そうして、先生が娘に「ハンカチ忘れたんだね、どうしようか?」と尋ねると

娘が「ハンカチ1枚かしてください」と先生に申告しました。

 

忘れ物をしたときどうやってその失敗をカバーするか。

その失敗をしないために次はどうするか。

それを考える力は、実際に自分で経験し乗り越えることによって培われるのだということを教えていただいた、本当にありがたい機会でした。

 

子どもに「手伝ってほしい、わからないから教えてほしい」と言われれば別ですが

そうでない限り、準備に手は出さないでおきましょう。

そうしてもし忘れ物をして失敗したとしたら

「次忘れないようにするためにどのようなことができるだろう」

ということを一緒に話し合ってみましょう。

そこで、前日の夜に用意をするだとか、朝もう少し早く起きるだとか、チェックリストを作るだとか、子どもから案が出てくると思います。

そうやって自分で考えて出した解決策を自分で実行することで

子どもが課題を乗り越えていく力と責任感が培われていくことと思います。

時間に遅れるとはどういうことかを教える

 保育園だと特に、「朝、時間に遅れる」というのは親の都合であることが多いです。

なぜなら小学校や幼稚園のように登校園する時間が一律でなく、親の勤務時間に合わせて登園するからです。

なので、「朝遅れる」ということでどんなデメリットがあるのか子どもには想像しにくいという問題があります。

子どもがデメリットを感じなければ、朝の時間を意識する必要性にも気づきません。

親だけが「もう時間に間に合わないよ~!」と焦って、子どもはそれになんとなくついていっているというだけになってしまいます。

そこで私はある程度時計が読めるようになってから娘に言ってみました。

  • 仕事では、時間を守るのがみんなのルールであり、それを破ると色々な人に迷惑がかかること
  • 私は7時50分の電車に乗らないと、仕事に遅れルールを破ることになってしまうこと
  • 電車に間に合うように7時25分には家を出たいこと

そのうえで、遅れそうなときには「わあこんな時間。ママ会社間に合うかしら」と言ってみます。そうすると娘もはっと気が付いたように手を進めることが多いです。

今では「ママもう7時10分だよ!大丈夫なの?」と腕を組んで急かしてくることもあります^^;

ただ、これには注意も必要だと思っています。

「ママが遅刻して仕事で嫌な思いをする」ことを「自分(子ども)の準備が遅かったせい」と、子どもが自分自身を責めたりしてしまう危険があるからです。

なので、「あくまで遅刻するのは私の責任」ということは伝え続けようと思います。

子どもが時間に遅れるデメリットを自分自身の問題として感じるようになったら、一緒にまた「時間を守るためにはどうすればいいか」を考えていきたいと思っています。

 

 

 子育ては何が正解か、すぐに結果がわかりません。

100人の子どもがいれば100種類の対応が必要で、すべての子どもに当てはまる万能薬もありません。

「こうしてみよう」ととった対応がうまくいかないこともあるし、理想を完璧に実現する必要もありません。

筆者も「失敗したな」と後悔すること多々ありつつ、子どもが見ている「いま」を大事にしながら時間に対する考えを養えるよう、手を出しすぎずにサポートしていきたいと思っています。

 

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